森のひとコマ|秋の演奏家に
モーリー
モーリーとニャッタと学ぶ不動産鑑定評価の実務
夜の森は、空気がしんと冷えていた。
モーリーは、森の奥へつづく小道を歩く。
途中で立ち止まり、
マフラーの端を、くちばしで整える。
「……まだ寒いな」
やがて、
梅の木が、いくつも並ぶ場所に出た。
白い花は、月の明かりを受けて、
静かに浮かびあがっている。
モーリーは、
少しだけ距離をとって見上げる。
──この実で、
また梅酒を仕込むことになる。
そうつぶやいて、
木の根もとに腰をおろす。
風が通り、
花が、かすかに揺れ、
梅の香りが、ふっと吹きぬけた。
モーリーは、
花を見上げたまま、
包みから、大きなおにぎりを取り出し、
ひとくち、ついばむ。
つづいて、
小さな瓶をそっと傾け、
去年の梅酒を、ちびちび味わった。
うん、この味……。
