第一景|前提を置く

モーリー

枠を整える

🐈 ニャッタ:
「……あれ? 同じ場所なのに、昼間より……視界がひらけた気がする。」

🦉 モーリー:
「この森はね——」
「前提を置かないと、歩けないんだ。」
「同じ場所でも、前提が違えば——
見えてくるものも変わる。」

モーリーは、森の奥に目を向けた。

🦉 モーリー:
「たとえば——」
「どこまでを対象として見ているのか。」
「いつの時点の話なのか。」
「どんな市場前提の価格として考えるのか。」

🐈 ニャッタ:
「……それが、前提?」

🦉 モーリー:
「うん。」
「不動産の価格はね、前提つきの判断なんだ。」

しばらく、ふたりは黙って歩いた。

🐈 ニャッタ:
「その前提って、自分で決めるの?」

🦉 モーリー:
「その価格を必要としている人がいる。」
「何のために、その価格が必要なのか。」
「それが見えてきて、はじめて前提の形が整ってくる。」

🐈 ニャッタ:
「ずれてたら、どうなるの?」

🦉 モーリー:
「出てきた価格が、
相手の見ていたものと違う、ということになる。」

🐈 ニャッタ:
「……でも、最初から全部わかるわけじゃないよね。」

🦉 モーリー:
「そう。最初は“見立て”なんだ。」
「資料を見て、だいたいの形をつかむ。」
「でも、それはまだ仮の話。」
「実際に歩いてみて、
違って見えたら、整え直す。」

🐈 ニャッタ:
「前提って、変わることがあるんだ。」

🦉 モーリー:
「最初に置くのは、
歩きはじめるための前提。」
「歩きながら、少しずつ形が整っていく。」

🐈 ニャッタ:
「……歩きながら、変わるんだ。」

🦉 モーリー:
「たとえば——」
「土地だけを見るのか。」
「建物も含めるのか。」
「借りて使う権利があれば、
そのままの状態で見るのか。」
「同じ場所でも、
見ているものが違えば、価格も変わる。」

🐈 ニャッタ:
「……たしかに、全然ちがうね。」

🦉 モーリー:
「だから最初に、はっきりさせるんだ。」
「“何を見ているのか”を。」

🐈 ニャッタ:
「“いつの価格か”って、そんなに重要なの?」

🦉 モーリー:
「森は、昨日と今日で、同じじゃないからね。」
「建物も、時間とともに変わっていく。」
「昨日の価格と、今日の価格。
同じとは限らない。」

「だから——
“いつの時点をとらえるのか”を、はっきりさせる。」

🐈 ニャッタ:
「同じ不動産でも、変わるんだね。」
ニャッタは少し考えてから、また口を開いた。

🐈 ニャッタ:
「価格って、ひとつじゃないの?」

🦉 モーリー:
「同じ不動産でも——」
「どんな前提で求めた価格なのかによって、
それは別のものになる。」

🐈 ニャッタ:
「……別のもの?」

🦉 モーリー:
「うん。」
「だから——」
「どんな前提の価格なのかを、
はっきりさせる必要がある。」

🌌 星空ノート

何を見ているのか。
いつの話なのか。
どんな前提で求めた価格なのか。

それらを含めて、
前提はひとつの形として整っていく。

第二景へ

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