第五景|歩みをふり返る
もう一度、森を見渡す
ニャッタは、もう一度立ち止まった。
出てきた価格を、
そのまま受け取っていいのか——
さっきまで見ていた森を、
もう一度たどる必要がある気がした。
🦉 モーリー:
「価格が出たら、それで終わりじゃない。」
「その価格が、市場の中でほんとうに成り立つかを、もう一度見直すんだ。」
🐈 ニャッタ:
「どうやって確かめるの?」
🦉 モーリー:
「歩いてきた道すじに、無理がなかったかを見る。」
「前提、調査、分析、評価――そのつながりを確かめるんだ。」
「そのとき——
会議室で見上げた理論の星座が、振り返るための手がかりになる。」
🐈 ニャッタ:
「……見直すための目印になるんだね。」
🦉 モーリー:
「森にはね、いくつもの力がある。」
「需要と供給、競争、代替……いろんな力が重なって、価格はできている。」
「でもね——
見るところは、そう多くない。」
「その価格が、市場の中でどこに収まるか。」
「その不動産が、どんな使われ方で選ばれるのか。」
「この2つを見れば、
森の中での位置が見えてくるんだ。」
🐈 ニャッタ:
「……そこで決まってくるんだね。」
🦉 モーリー:
「不動産の価値はね——
どう使われるかで決まる。」
「そしてその結果が、
市場の中での位置として現れてくるんだ。」
🌌 星空ノート
同じ森を歩いても、
二度目は、ちがうものが見える。
ニャッタは、もう一度森を見渡した。
さっきまでとは、少しだけ違って見えた。
🌙 夜明け
🦉 モーリー:
「もうすぐ夜が明けるよ。今日は、ここまでだ。」
ミッドナイト不動産鑑定の看板の文字が、
ゆっくりと、読めなくなっていく。
森は、ただの静かな公園に戻っていく。
ニャッタは、もう一度だけ振り返った。
そこには、ベンチと、
日向ぼっこをしている一匹のタヌキ。
🐈 ニャッタ:
「あれ……
このタヌキって……」
タヌキは、何も知らない顔であくびをした。
