森のひとコマ|冷蔵庫のありか
モーリー
ミッドナイト不動産鑑定
(※本記事は、鑑定評価の実務とは一切関係ありません。)
その夜、ミッドナイト不動産鑑定の事務所は静まりかえっていた。
あれ?ニャッタの姿がない。
モーリーが机を見渡すと、なにやらレシピのようなニャッタのメモ書きがあった。
モーリーは、ニャッタを探して外に出た。
静かな森の中を歩いていると、小さな灯りがぽつんとともった。
「モーリーさん、お誕生日おめでとうございます。」茂みの中から声が聞こえた。
茂みの先の小さな広場には、ニャッタがいた。
テーブルにはどんぐりのオイルランプと、モーリーの大好物の野ネズミのパイが置かれている。
モーリーは思わず笑った。
「……誕生日、覚えててくれたんだね。きみを探して、森をずっと歩いたよ。」
その夜、冷たい霧の中に、あたたかな灯りがひとつ、そっとともった。