森のひとコマ|ニャッタの夏の楽しみ
モーリー
ミッドナイト不動産鑑定
夏祭りの後、森の広場にはまだ灯りがゆれていた。
「ふぅ…祭りの後って、少し静かだね」
ニャッタがしっぽを揺らしてつぶやいた、そのとき──
「ひゃっ!?なにこれ!」
レコルが突然、木のテーブルの前で立ち止まった。
そこには、誰が置いたのかわからない大きな宇治金時。
夜風に運ばれてきたのは、ほんのり甘くて冷たい香り。
モーリーは少し羽根をふくらませて、
一歩近づき、スプーンでそっとすくう。
「森の雪解けを口いっぱいに感じる…」
モーリーはしばし目を閉じ、羽根を小さくふるわせた。
「…キーンってきたんだね。」
レコルが小さく笑った。
広場には、ひんやりとした甘さと小さな笑い声が広がった。