森のひとコマ|秋のはじまり
モーリー
モーリーとニャッタと学ぶ不動産鑑定評価の実務
森の広場に、やさしい風がそっと吹きぬけた。
モーリーは、木陰のベンチに腰をおろし、
麦茶の入ったボトルを、両羽でそっと持ち上げる。
カラン…。
中の氷が、ひとつだけ音を立てた。
その音が、森の静けさにふっと溶けた──。
「…なんだか、不思議だな」
氷の音が、こんなに大きく聞こえるなんて。
モーリーはくちばしを小さくゆがめて、空を見上げる。
足もとに、一枚の落ち葉が、ひらりと舞いおりる。
モーリーは、ボトルにくちばしを近づけ、
最後の一滴まで、ゆっくりとちびちび味わった。
「夏は、いってしまったんだね……」
そして、ふと考えた。
──もう、麦茶じゃなくて、温かいスープでも飲もうかな。
