森のひとコマ|冷蔵庫のありか
モーリー
ミッドナイト不動産鑑定
(※本記事は、鑑定評価の実務とは一切関係ありません。)
静かな夜。
森の会議室に、かすかな湯の音が広がる。
ポコ…ポコポコ…
モーリーは、真剣な顔で湯気の立つ急須をのぞきこんでいた。
その横で、ニャッタがそっと問いかける。
「……モーリーさん、この“ふくろう茶”って、なにが入ってるんですか?」
モーリーは、一瞬だけ間を置いて答えた。
「ふくろうの羽だよ。」
ニャッタの耳がピクリと動く。
「えっ、それって──」
モーリーは湯気の向こうで、ただ微笑んだ。
「さぁ、冷めないうちに飲んでごらん。」
おそるおそるカップを口に運んだニャッタは、目を細めてつぶやいた。
「……なんだか、夜の音がよく聞こえる味です。」
モーリーはゆっくりうなずいた。
「それは、今夜の森が静かだってことさ。」