森のひとコマ

森のひとコマ|かわいい影にご用心

森の小道を歩くリスのレコルと、先に現れる小さな影。絵本のようなやわらかいタッチのアイキャッチ画像。
モーリー

森の小道を、レコルがふくふくのしっぽをゆらして、忙しくかけまわる。

その足元では、木漏れ日がちらちらと踊り、乾いた葉が小さくはねる。

ふと先をみると──

木陰から白くて小さな影がすっと顔を出した。

くりくりとした黒い瞳、細くしなやかな体。

レコルの目が輝き、口が開く。

「わあ、かわ──」

その声が言い終わる前に、

モーリーの大きな羽がふわりと前に広がり、レコルの行く手をやさしく遮った。

「レコル、あれはオコジョさんだよ。

かわいいけれど、森では肉食のハンター。近づくと危険なんだ。」

レコルは驚いたようにオコジョを見つめ、こくりとうなずいた。

その瞬間、小さな影は風のように消えていった。

森では、見た目のかわいらしさに惑わされてはいけない──

そんな静かな教えが、夕暮れの小道に残った。

レコルが雪の森で、白いオコジョと出会い驚いた表情をしているシーン。
レコルが出会った小さな影
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