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総論第8章 鑑定評価の手順

モーリー

■ 鑑定評価の手順

鑑定評価を行うためには、合理的かつ現実的な認識と判断に基づいた一定の秩序的な手順を必要とする。この手順は、一般に鑑定評価の基本的事項の確定、依頼者、提出先等及び利害関係等の確認、処理計画の策定、対象不動産の確認、資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成の作業から成っており、不動産の鑑定評価に当たっては、これらを秩序的に実施すべきである。

(不動産鑑定評価基準総論第8章)

第2節 依頼者、提出先等及び利害関係等の確認

■ 関与不動産鑑定士/関与不動産鑑定業者

関与不動産鑑定士(当該鑑定評価に関与するすべての不動産鑑定士をいう。以下同じ。)及び関与不動産鑑定業者(関与不動産鑑定士の所属する不動産鑑定業者をいう。以下同じ。)について、対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及びその内容を明らかにしなければならない。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第2節Ⅱ1)

関与不動産鑑定士とは、当該不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士の全員をいい、当該不動産の鑑定評価に関する業務の全部又は一部を再委託した場合の当該再委託先である不動産鑑定業者において当該不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士を含むものとする。

(留意事項Ⅵ1(2)①)

関与不動産鑑定業者とは、当該不動産の鑑定評価に関与不動産鑑定士を従事させている不動産鑑定業者のすべてをいう。

(留意事項Ⅵ1(2)②)

■ 提出先等

鑑定評価書が依頼者以外の者へ提出される場合における当該提出先又は鑑定評価額が依頼者以外の者へ開示される場合における当該開示の相手方(以下「提出先等」という。)と関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との間の特別の資本的関係、人的関係及び取引関係の有無並びにその内容を明らかにしなければならない。ただし、提出先等が未定の場合又は明らかとならない場合における当該提出先等については、その旨を明らかにすれば足りる。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第2節Ⅱ3)

第4節 対象不動産の確認

■ 対象不動産の確認(物的確認・権利の態様の確認)

対象不動産の確認に当たっては、第1節により確定された対象不動産についてその内容を明瞭にしなければならない。対象不動産の確認は、対象不動産の物的確認及び権利の態様の確認に分けられ、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により、的確に行う必要がある。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第4節)

対象不動産の物的確認に当たっては、土地についてはその所在、地番、数量等を、建物についてはこれらのほか家屋番号、建物の構造、用途等を、それぞれ実地に確認することを通じて、第1節により確定された対象不動産の存否及びその内容を、確認資料(第5節Ⅰ参照)を用いて照合しなければならない。また、物的確認を行うに当たっては、対象不動産について登記事項証明書等により登記又は登録されている内容とその実態との異同について把握する必要がある。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第4節Ⅰ)

権利の態様の確認に当たっては、Ⅰによって物的に確認された対象不動産について、当該不動産に係るすべての権利関係を明瞭に確認することにより、第1節により確定された鑑定評価の対象となる権利の存否及びその内容を、確認資料を用いて照合しなければならない。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第4節Ⅱ)

対象不動産の確認に当たっては、原則として内覧の実施を含めた実地調査を行うものとする。なお、同一の不動産の再評価を行う場合において、過去に自ら内覧の実施を含めた実地調査を行ったことがあり、かつ、当該不動産の個別的要因について、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して重要な変化がないと客観的に認められる場合は、内覧の全部又は一部の実施について省略することができる。

(留意事項Ⅵ3(1))

第5節 資料の収集及び整理

■ 確認資料

確認資料とは、不動産の物的確認及び権利の態様の確認に必要な資料をいう。確認資料としては、登記事項証明書、土地又は建物等の図面、写真、不動産の所在地に関する地図等があげられる。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第5節Ⅰ)

■ 要因資料

要因資料とは、価格形成要因に照応する資料をいう。要因資料は、一般的要因に係る一般資料、地域要因に係る地域資料及び個別的要因に係る個別資料に分けられる。一般資料及び地域資料は、平素からできるだけ広くかつ組織的に収集しておくべきである。個別資料は、対象不動産の種類、対象確定条件等案件の相違に応じて適切に収集すべきである。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第5節Ⅱ)

■ 事例資料

事例資料とは、鑑定評価の手法の適用に必要とされる現実の取引価格、賃料等に関する資料をいう。事例資料としては、建設事例、取引事例、収益事例、賃貸借等の事例等があげられる。なお、鑑定評価先例価格は鑑定評価に当たって参考資料とし得る場合があり、売買希望価格等についても同様である。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第5節Ⅲ)

第8節 試算価格又は試算賃料の調整

■ 試算価格又は試算賃料の調整

試算価格又は試算賃料の調整とは、鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価格又は試算賃料の再吟味及び各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第8節)

試算価格又は試算賃料の調整に当たっては、対象不動産の価格形成を論理的かつ実証的に説明できるようにすることが重要である。このため、鑑定評価の手順の各段階について、客観的、批判的に再吟味し、その結果を踏まえた各試算価格又は各試算賃料が有する説得力の違いを適切に反映することによりこれを行うものとする。この場合において、特に次の事項に留意すべきである。Ⅰ 各試算価格又は試算賃料の再吟味 1.資料の選択、検討及び活用の適否 2.不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否 3.一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否 4.各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否 5.各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性 6.単価と総額との関連の適否 Ⅱ 各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断 1.対象不動産に係る地域分析及び個別分析の結果と各手法との適合性 2.各手法の適用において採用した資料の特性及び限界からくる相対的信頼性

(不動産鑑定評価基準総論第8章第8節)

第9節 鑑定評価額の決定

■ 公示価格との規準

第1節から第8節で述べた手順を十分に尽した後、専門職業家としての良心に従い適正と判断される鑑定評価額を決定すべきである。この場合において、地価公示法施行規則第1条第1項に規定する国土交通大臣が定める公示区域において土地の正常価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。

(不動産鑑定評価基準総論第8章第9節)

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