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実務の森|不動産価格の”初値マジック”──価格・賃料にのる新築プレミアムの話

モーリー
ニャッタ
ニャッタ

不動産の世界では、 「新築マイホームは、鍵をあけた瞬間に、2〜3割価値が下がる」 と、言われることがあります。 ※下落の幅は、物件種別(マンション/戸建)、立地、市況によって差があります。

しかし、鍵をあけたからといって、 建物が急に古くなるわけでも、何かが壊れるわけでもありません。

それでも、「新築」という状態を失った途端に、価格や賃料への市場の見方が切り替わることがあります。

では、いったい何が”消えた”のでしょう? ーーそれは「新築」という”状態の価値”。 その正体が、ここから見ていく「新築プレミアム」です。

ニャッタ
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モーリー
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じゃあ、ここから「新築プレミアム」の中身を一つずつほどいていこう。

1.「新築プレミアム」ってなに? 〜”特別価格”のヒミツ〜

🦉モーリー:「不動産の『新築プレミアム』っていうのはね、『新築だから』という理由で、価格や賃料に上乗せされる”プレミアム部分”のことなんだ。」

1-1. 新築プレミアムの特徴

👉 比較しにくいため、相場より高くても成立しやすい

不動産は、ひとつとして同じものがない財です。 そのため、価格を他の不動産と比べて確かめるのが難しい。

その性質に加えて、「新築」という特別な状態のときは、 相場より高い価格が成立しやすくなります。

新築プレミアムの特徴

  • 「新築であること=価値が高い」という単純な図式では説明しきれない
  • 「新築」という状態やブランドが、市場で価値として評価されている
  • 新築特有の販売コスト等も価格に含まれている

🦉モーリー:「じゃあ、その上乗せ分は何でできてるのかを、3つに分けて見ていこう。」

1-2. 新築プレミアムを構成する3つの要素

🦉モーリー:「新築プレミアムには、性質のちがう3つの要素が関わっているよ。」

区分要素性質
市場環境上乗せが成立する「環境」
販売コスト供給側で積み上がる「実費」
事業者の利益供給側に乗る「マージン」

🦉モーリー:「ここで大事なのは、⑴は”上乗せの中身”じゃなくて、上乗せが成立するための環境だってこと。⑵と⑶が”中身”だよ。」

⑴ 市場環境

⑵の販売コストや⑶の事業者の利益が「価格として成立するかどうか」は、市況に左右されます。 

🦉モーリー:「市場が許容するから、販売コストが回収されて、そのうえで利益が出るんだ。」

🐈ニャッタ:「ようするに、『高くても買う人がいる』状況だね。」

🦉モーリー:「そう。その”高くても成立する理由”を、少し整理してみようか。」

“初値マジック”が起きやすい市場環境

  • 新築が好まれる(市場選好性が高い)
  • 供給が少ない(稀少性が高い)
  • 比較しにくい

この前提がそろうと、市場では「新築だから高い」価格が成立しやすくなります。

🦉モーリー:「初値って”最初の魔法”みたいなものなんだ。 でもね、その魔法は次の買い手にまでは残らないことが多いんだ。」

つまり、⑵⑶が受け入れられるための市場環境(⑴)は、新築の局面に限られやすいということです。

🦉モーリー:「新築プレミアムってね、新しさだけで生まれるわけじゃないんだ。 その場所に住みたい人がたくさんいて、はじめて成立するものなんだよ。」

⑵ 販売コストの回収部分

🦉モーリー:「これは販売のための実費だよ。大きく次の3つに分けられるんだ。」

A. 販売促進・集客コスト(広告宣伝系)

  • 広告媒体費(WEB/紙/屋外など)
  • パンフレット・動画・CG制作
  • モデルルーム設営・運営
  • 物件サイト運用、撮影、PR など

B. 販売・契約オペレーションコスト(販売実務系)

  • 販売手数料(販売会社への報酬 等)
  • 契約・引渡し関連の事務費
  • 重説・契約書作成、バックオフィス費用 など

C. 組織・間接コスト(人件費・管理系)

  • 分譲部門の人件費
  • 営業管理費、システム費、現場管理費 など

これらのコストはすべて、 価格の中に最初から溶け込んでいる。

しかも新築では、

  • 内訳はパッケージ化されやすく
  • 外からは見えにくく
  • 「新築価格」として一括表示される

そのため、「高い」ということは分かっても、 何に対して支払っているのかは、見えにくいのです。

🦉モーリー:「営業をする人、裏で事務をする人……新築は、あいだに人がはさまるほど、その分のコストが価格にのっていくんだよ。」

🦉モーリー:「売るためのコストは価格にのっているけど、築年が経つにつれ、市場では評価されにくくなっていくんだ。」

⑶ 需要で拡大する利益部分

ー 需要が強いと「利益が厚くても売れる」

🦉モーリー:「販売額は、原価と”通常の利益”にわけられるね。でも新築は、需要が強いと、その利益の”厚み”が大きくなりやすいんだ。」

※ここでいう「利益が厚い」とは、通常想定される事業利益を超えて、市場が受け入れた上振れ分を指します。

利益が拡大する仕組み

  • 原価+通常利益を前提に価格が組み立てられる
  • 需要が強い局面では、利益幅が想定より大きくなる
  • その結果、販売価格の中に”上振れした利益”が含まれる(=市場が許容した”利益の厚み”)

🦉モーリー:「原価に費用と利益を乗せて売るのは、事業として当然のこと。でも新築は、需要次第でその”幅”が大きくなりやすいんだね。」

1-3. ここまでの整理

🦉モーリー:「新築プレミアムってね、不動産そのものの価値が高いというより、需要と供給がつりあう”場所”が、新築の局面では高いところにある、という現象なんだ。」

🐈ニャッタ:「まとめると、新築プレミアムは『新築特有のコスト』『事業者の利益』『市場の追い風』が組み合わさってできてるってことだね。」

整理すると——

  • ⑵⑶は、供給者側で積み上げられる「中身」
  • ⑴は、それを市場(需要者)が受け入れるかどうかを決める「市場環境」

新築プレミアムは、⑵販売コストや⑶需要で拡大する利益が、⑴市場の需要によって回収・実現できている局面で現れます。

🦉モーリー:「原価法ってね、まず”つくる側の理屈”でコストや利益を積み上げるんだ。 でも最後は、その価格が市場で受け入れられるか――つまり需給を見て調整するんだよ。」

📝 補足:原価と通常利益を下回る水準は、事業として継続が難しく、本記事でいう「新築プレミアム」には含めていません。

2.新築プレミアムは「賃料」にどう表れる?

🦉モーリー:「賃料はね、価格とちがって”一部の期間”だけ不動産を使用することの対価なんだ。」

新築や築浅物件では、周辺相場より高い賃料が設定されることがあります。 これは、

  • 誰も住んでいない
  • 設備が新しい
  • 気持ちよく使える

といった「新築かそれに近い状態」に対して支払われる対価と考えられます。

そのため、新築時の賃料は、将来にわたって維持される水準というより、 「新築として貸せる限られた期間」に成立している賃料 といえます。

入居者の入れ替わりにより、徐々に周辺の賃貸物件と比較されるようになり、賃料は次第に落ち着いていきます。 賃料に現れる新築プレミアムも、価格と同様に「初期に消費される価値」だといえます。

🐈ニャッタ:「じゃあ、資産価値は高くなくても、賃料だけ高いってこともあるんだね。」

🦉モーリー:「そう。賃料は”新築の期間を買う値段”。価格は”将来も含めて全ての期間を買う値段”。見ている時間軸が違うんだよ。」

3.新築プレミアム部分に「資産価値」はある?

「新築プレミアムは”消費される価値”であり、 鑑定評価では”不動産価格”とは切り分けて考える」

ニャッタ
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3-1. 「消費される価値」という見方

新築プレミアムが上乗せされた部分は、 将来にわたって回収される価値というより、 購入時点で消費される性格の強いもの と考えられます。

相場を上回って支払われた部分については、 それが新築であっても中古であっても、 将来回収される資産価値としては認められにくくなります。

3-2. アンカリング効果と「残ったように見える」現象

築後間もない段階では、価格が維持されているように見えることがあります。 ただしこれは、プレミアムが「残っている」というより、 新築分譲時の価格が市場における 参照点(アンカー=判断の基準点) として作用しているケースが多いと考えられます。

そのため、短期的には取得価格に近い水準での取引が成立する場合もあります。

🐈ニャッタ:「じゃあ、プレミアムが残ってるわけじゃないんだね。」

🦉モーリー:「そう。残ったように見えるだけなんだ。」

そのため、新築時の価格や賃料をそのまま将来も維持できると考えるのは、少し注意が必要です。

4.モーリーのまとめ

  • 価格が成立している=資産価値がある、ではない
  • 需要者の心理・判断基準を見る
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第四景「価格にあらわす」で向き合うことのひとつです。
集めた事実や関係を整理しながら、
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第四景|価格にあらわす

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