不動産調査

実務の森|【1項4号道路】計画道路

モーリー

―― まだない道が「道路」になる仕組み

実務での呼び方:計画道路、4号道路

🐈 ニャッタ:「不動産屋さんに、『この土地の前、2年以内に道ができる予定なんですよ』って言われたんだ。まだ何にもない場所なのに、もう道路扱いになるの?」

🦉 モーリー:「うん、不思議だよね。でも建築基準法には、『将来できる予定の道』を、いまの時点で道路扱いにする規定があるんだ。それが1項4号道路――一般に『計画道路』と呼ばれる仕組みだよ。」

1. 「1項4号道路」とは

建築基準法第42条第1項第4号に定められた、次のすべてを満たす道路を指します。

  • 都市計画法その他の法令の規定により、2年以内に事業の施行が予定されている
  • 特定行政庁が指定した

特定行政庁が42条1項4号道路として指定した時点で、たとえ現地ではまだ整備が始まっていなくても、その路線は建築基準法上の道路として扱われます。

🦉 モーリー:「ふつう、道は『できてから』道路扱いになる。でも4号道路は、『できる前から』道路扱いになる、ちょっと珍しい類型なんだ。」

2. 条文を見てみよう

建築基準法 第42条第1項第4号

四  道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法(第六章に限る。)による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの

条文上の要件を分解すると、

  • 道路法・都市計画法・区画整理法など、特定の法律に基づく事業計画があること
  • 事業計画が「新設」または「変更」のものであること
  • 「2年以内に事業が執行される予定」であること
  • 特定行政庁が指定したこと(実務上は指定道路図や告示等で公示される)

3つの要件(事業計画の根拠法・「2年以内」の時間軸・特定行政庁の指定)をいずれも満たして初めて4号道路となります。「将来できそうな道」というだけでは足りず、事業の根拠法と、特定行政庁の能動的な指定が求められる――この点が4号の核です。なお、事業の施行が確実であるかどうかは、特定行政庁が指定するかを判断するうえでの実務上の重要な要素となります。

3. 「計画道路」という言葉の3つの顔

実務でいちばん混乱しやすいのが「計画道路」という言葉です。文脈によって、まったく違う制度を指して使われています。

呼び方根拠意味
都市計画道路都市計画法都市計画決定された将来の道路。決定だけでは建築基準法上の道路ではない
1項4号道路(計画道路)建築基準法42条1項4号2年以内に事業執行予定で、特定行政庁が指定した路線
2項拡幅予定線建築基準法42条2項2項道路のセットバックで将来4mに拡げる予定の道幅

「計画道路」という同じ呼び方でも、根拠も意味も異なります。詳しくは別記事「『計画道路』の3つの顔」で図入りで整理しています。

🐈 ニャッタ:「同じ『計画道路』なのに、3つも別の意味があるんだ……」

🦉 モーリー:「うん。だから書類で『計画道路』と書かれていたら、どの『計画道路』のことか、必ず根拠条文を確認してね。」

4. 1項2号道路とのちがい

似たような事業の枠組みで生まれる道路として、1項2号道路(開発道路)と1項4号道路(計画道路)があります。両者の違いは、道路が「できた後か、できる前か」にあります。

1項2号道路1項4号道路
道路の現況工事完了済(または進行中)未整備のことが多い
手続のタイミング工事完了・完了検査の後の公告事業執行予定の段階(2年以内)に特定行政庁が指定
道路としての通行通行可能なことが多い現地ではまだ通行できないこともある
接道義務の充足問題なく満たせる指定されていれば満たせるが、現実の通行は別問題

🦉 モーリー:「2号道路は事業で整備された後の道路、4号道路は事業執行予定の段階で特定行政庁が指定する道路。違いはタイミングに加えて、4号では『指定』という手続が要る点にもあるんだ。」

5. 評価・取引で気をつけたい点

(1) 「2年以内」という時間軸の不安定さ

条文は「2年以内に事業が執行される予定」と定めています。しかし、現実の事業は予算・用地買収・関係者調整などの要因で遅延することがあります。

  • 事業が完了すると、根拠法や道路管理の状況に応じて、1項1号道路(道路法による供用認定がある場合)や1項2号道路(開発許可・土地区画整理事業等による場合)などとして整理されることがある
  • 事業が遅延・縮小・中止されると、4号道路の指定が取り消されたり、別の枠組みに整理し直されたりすることがある

「指定されているから安心」と読み替えず、事業の進捗を都市計画担当課で確認することが大切です。

(2) 建築制限・土地利用制限

4号道路は接道義務上の道路として扱われますが、個別の敷地で実際に建築できるかは、接道形態(敷地が2m以上接しているか、用地買収後の道路区域にどう接続するか)、事業進捗、建築制限をあわせて確認する必要があります。

  • 都市計画施設の区域内(事業認可前)は都市計画法第53条、都市計画事業の認可後の事業地内は同法第65条の建築許可制(建築制限)が及ぶ
  • 土地区画整理事業の中では、仮換地・換地処分などの制限が及ぶ
  • 事業区域内では、建築物の構造や規模に制限が課されることがある

「建てられる/建てられない」だけでなく、「どう建てられるか」「いつ建てられるか」も含めて確認するのが安全です。

(3) 接道形態の確認

現地で4号道路が未整備の場合、敷地が将来の道路区域にどう接続するか――その接道形態は事業の図面でしか確認できません。「指定されている=今すぐ建てられる」とは限らず、用地買収の進捗や仮換地の状況も含めた個別判断が必要です。

🦉 モーリー:「4号道路は『未来を見越した道路扱い』。だから評価の根拠も『現状』と『計画』の両方をセットで持っておくことが大事なんだ。」

6. モーリーのまとめ

  • 1項4号道路は、2年以内に事業執行予定として特定行政庁が指定した道路
  • 未整備でも、特定行政庁の指定があれば建築基準法上の道路として扱われる
  • 「計画道路」という言葉は3つの制度で別の意味を持つため、根拠条文の確認が必須
  • 1項2号との違いは、道路が「できた後か、できる前か」のタイミングに加え、4号には「特定行政庁の指定」という手続が要る点にもある
  • 事業の進捗・遅延・建築制限を、都市計画担当課で必ず確認する

🦉 モーリー:「4号道路は『指定と現実のズレ』を抱えた道なんだ。書類と現地、両方を行き来しながら確かめる――これに尽きるよ。」

【参照】 建築基準法第42条第1項第4号、都市計画法第53条・第65条(e-Gov法令検索)、各特定行政庁の指定道路図、都市計画情報

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