不動産調査

実務の森|43条2項の認定・許可

モーリー

―接道していない土地でも建てられる?

実務での呼び方:43条2項1号認定/43条2項2号許可/(旧)43条但し書き

接道義務を満たさない土地でも、要件を満たせば例外的に建築できる――。建築基準法第43条第2項に置かれたこの「救済ルート」は、平成30年(2018年)の法改正で大きく姿を変え、令和5年(2023年)の規則改正で対象範囲がさらに拡大しました。本稿では、現行の条文構成と「認定」「許可」の違い、申請実務、不動産取引・住宅ローンへの影響、評価上のリスクまでを一本に統合し、実務で迷いやすい論点まで踏み込んで解説します。

🐈 ニャッタ:「祖父が残してくれた古い家。前の道がどうも『建築基準法上の道路』じゃないって聞いたんだけど……もう建て替えはできないってこと?」

🦉 モーリー:「うん、原則ではそうなんだ。でも――例外もちゃんと用意されているんだよ。それが、建築基準法第43条第2項に定められた『認定・許可』のしくみ。慎重だけど、ちゃんと条件を満たせば、ちゃんと開く――そんな扉だよ。」

1.接道義務の原則(第43条第1項本文)

建築基準法(集団規定)は、都市計画区域および準都市計画区域内に限って適用されます(同法第41条の2)。これらの区域内では原則として、建築物の敷地が第42条に規定する道路(幅員4m以上のものなど)に2m以上接していなければ、建築物を建てることができないと定められています(第43条第1項本文)。これがいわゆる「接道義務」です。

接道義務は、火災時の避難経路の確保、緊急車両の進入、日常的な通行の安全といった、都市の防災・衛生・交通上の最低条件を担保するためのルールです。なお、第43条第1項の「道路」からは、①自動車のみの交通の用に供するもの、②一定の地区計画の区域内の道路、が除かれます。

ただし、現実には次のような土地が存在します。

  • 公道や2項道路に接しているように見えるが、形式上の接道幅が2mに満たない
  • 前面の道が法上の道路にあたらない(指定されていない通路、農道、里道など)
  • 周囲を他人地に囲まれた袋地状の敷地で、法上の道路にまったく接していない

これらをすべて「建築不可」としてしまうと、既存の住宅が建て替えられなくなり、暮らしや街の更新が止まってしまいます。そこで、安全性や避難条件など一定の基準を満たすものに限って、特定行政庁の判断で建築を可能にする―それが第43条第2項の認定・許可です。

🦉 モーリー:「接道義務は、街の安全を支える大原則。でも、原則を一律に当てはめると救えない土地もある――だから例外の扉が用意されているんだ。」

2.救済措置:第43条第2項の二つの制度

接道義務を満たさない土地でも、第43条第2項に基づき、特定行政庁の「認定」(第1号)または「許可」(第2号)を受ければ、例外的に建築が認められます。これらは、再建築不可となりかねない土地を救済する重要なルートで、現在は次の2つの制度に分かれています。

📌 ここがポイント:「認定」と「許可」は別物
第1号は「認定」(建築審査会の同意は不要)、第2号は「許可」(建築審査会の同意が必要)です。両者は名称が違うだけでなく、根拠条文・対象建築物・申請書の様式・処理期間まで異なる別個の制度です。法令解説や古い実務書で「43条2項の許可」と一括して説明されているのを見かけたら、第1号の認定と読み替えが必要なケースかどうかを確認してください。

🦉 モーリー:「同じ43条2項でも、1号認定は『定型の救済』、2号許可は『個別の救済』。同じ箱に見えても、扱われる手続きの重さは別物なんだ。」

3.制度の変遷――旧「但し書き」から現行制度へ

もともと第43条第1項には、本文(接道義務)に続けて「ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない」というただし書きが置かれていました。これがいわゆる「43条但し書き許可」で、長く実務で使われてきた呼び名です。

3.1 平成30年改正――但し書きから2項へ

平成30年(2018年)6月27日に公布された「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)」により、同年9月25日からこのただし書きが廃止され、第2項に独立した2つの号として整理されました。

  • 比較的軽い類型(要件があらかじめ国の基準で定型化されているもの)→ 第43条第2項第1号の「認定」
  • 個別審査が必要な類型 → 第43条第2項第2号の「許可」

両者の違いは、建築審査会の同意の要否にあります。

3.2 令和5年改正――1号認定の対象拡大

さらに、令和5年(2023年)12月13日施行の改正(令和5年国土交通省令第93号)で、第1号認定の対象範囲が拡大されました。

  • 対象建築物の延べ面積上限が概ね200㎡程度から500㎡に引き上げ
  • 対象用途も従来の一戸建て住宅中心から、兼用住宅・長屋、さらに法別表第1(い)欄(1)項に掲げる用途以外の用途に供する建築物まで拡大

この改正は、特例認定・特例許可の運用実態を踏まえた手続のさらなる合理化を目的としたもので、既存建築ストックの活用にも資するものとして整理されています。従来は2号許可で扱われていたケースの一部が、建築審査会の同意を要しない1号認定で処理できるようになっています。

📝 古い資料を読むときの注意古い実務書や登記簿の付属書類で「43条1項ただし書き」「43条ただし書き許可」とあるのは、平成30年改正前の旧制度です。現行の対応関係は次のとおりです。要件が定型化されたものは「第2項第1号認定」、それ以外で建築審査会の同意を得て個別判断されたものは「第2項第2号許可」に置き換わっています。なお、「第43条第1項第3号」という条文を引いている文献を見かけることがありますが、第43条第1項第3号という規定は現行・過去を通じて存在しません。「42条第1項第3号道路(昭和25年法施行時に存在した幅員4m以上の道)」との混同が疑われるため、原典に当たって確認してください。

🦉 モーリー:「『但し書き』という言葉は今も実務でよく聞くけれど、条文の場所と手続きが整理されたのが平成30年改正、1号認定の枠が広がったのが令和5年改正――この2段階の流れを押さえておくと迷わないよ。」

4.条文を見てみよう(第43条第2項)

建築基準法 第43条第2項(要旨)

📖 条文(要旨)前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

条文の組み立てを分解すると、

  • 1号は「幅員4m以上の通路に2m以上接していること」が前提。法上の道路ではないが、省令で定める基準(後述)を満たす道に接する、用途・規模が省令で定める範囲内の建築物が対象
  • 2号は「広い空地」など、敷地と周囲の状況から個別に判断される類型。建築審査会の同意が必須

「特定行政庁が支障がないと認める」という最終判断は両者に共通します。

5.第43条第2項第1号認定(特定行政庁の認定)

第1号は、敷地に接する「道」と建築物の「用途・規模」が、国土交通省令(建築基準法施行規則第10条の3)の定める基準に適合し、特定行政庁が交通上・安全上・防火上及び衛生上支障がないと認める場合に適用されます。建築審査会の同意は不要で、より簡易な手続として運用されています。

5.1 対象となる「道」

  • 農道その他これに類する公共の用に供する道で、幅員4m以上のもの
  • 建築基準法施行令第144条の4第1項各号に掲げる基準(位置指定道路と同等の構造基準。両端の接続、幅員、隅切り、縦断勾配、舗装、排水(側溝等)など)に適合する道で、幅員4m以上のもの

5.2 対象となる用途・規模(令和5年改正後)

上記の「道」に2m以上接していることを前提に、用途・規模で次のいずれかに当てはまる建築物が対象となります。

  • 農道等の公共の用に供する道に接する場合:法別表第1(い)欄(1)項に掲げる用途(劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場等)以外の用途で、延べ面積500㎡以内のもの
  • 位置指定道路と同等の構造基準を満たす道に接する場合:一戸建ての住宅、長屋、兼用住宅で、延べ面積500㎡以内のもの

改正前は延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅等が中心でしたが、改正後は500㎡まで枠が広がり、対象となる用途も整理されています。

1号認定は、建築審査会の同意を要しないため、許可よりも手続きが軽く、運用も比較的安定しています。「明らかに無接道だが、現に通路が機能している」というケースで、円滑な救済を提供するための類型です。ただし、具体的な運用基準は各特定行政庁が定めており、自治体ごとの取扱要綱・包括基準の確認は必須です。

⚠️ よくある誤解:単なる「幅員4m以上の私道」では足りない対象となる「道」には、所有形態(公共の用に供されているか)と技術基準(幅員・構造)の双方を満たす必要があります。つまり一般の私道であれば自動的に該当するわけではなく、位置指定道路の技術基準(両端の接続、幅員、隅切り、縦断勾配、舗装、排水(側溝等)など。建築基準法施行令第144条の4)と同等の構造を備えていることが求められます。技術基準に合致しない私道に接する敷地は、第1号認定の対象外となり、第2号許可で個別審査される場合があります。

🦉 モーリー:「第1号は『あらかじめ国が決めた基準に合っていれば、特定行政庁が認定してOK』という、ある意味スピーディーな仕組みなんだよ。」

6.第43条第2項第2号許可(特定行政庁の許可+建築審査会の同意)

第2号は、第1号の省令基準に当てはまらない、より個別性の高いケースで適用されます。特定行政庁が「交通上・安全上・防火上及び衛生上支障がない」と認め、かつ建築審査会の同意を得て許可することで、例外的に建築が認められます。

6.1 典型的なケース

  • 敷地の周囲に公園・広場・河川等の広い空地があり、安全・防災上の支障がないと認められる建物
  • 道路に通ずる通路に有効に接し、通路の幅員・形態・権利関係等について、特定行政庁が支障なしと判断できる袋地状敷地の建物
  • 新築だけでなく、既存不適格建築物の建替えで個別審査が必要なもの

袋地状の敷地について、現に通路の通行権があるというだけでは2号許可の要件を満たしません。避難・通行・防火・衛生上の支障がないかどうかを、通路の幅員・形態、建物用途・規模、自治体基準への適合性も含めて、特定行政庁が個別に判断します。

建築審査会の同意を得る必要があるぶん、申請から判断までの期間や、提出資料の負担は1号認定より大きくなります。許可の運用基準・包括同意基準・許可申請手続きは、特定行政庁ごとに細かく異なるため、対象地を管轄する建築指導担当部署での事前相談が不可欠です。

6.2 包括同意基準(一括同意基準)とは

📘 包括同意基準とは?多くの特定行政庁は、頻出パターンを類型化した「包括同意基準(一括同意基準)」を事前に公表しています。包括同意基準に合致する建築物は、建築審査会への個別付議が省略され、許可までの期間が短縮されます。基準に合致しない案件は、建築審査会に個別に付議されるため、許可までに2〜6か月程度かかることもあります。包括同意基準は自治体ごとに内容が異なるため、所管の特定行政庁の建築指導課で必ず最新版を確認してください。

🦉 モーリー:「第2号は『この1件だけは、ちゃんと安全性を確認した上で、審査会の同意も得て特別に許可します』というイメージ。慎重な分、時間も書類も多めだよ。」

7.第1号認定と第2号許可の比較

ふたつの制度の違いを一覧で整理します。実務で「どちらの手続を踏むか」を判断する出発点として活用してください。

項目第43条第2項第1号(認定)第43条第2項第2号(許可)
処分の名称認定許可
建築審査会の同意不要必要
位置づけ省令で定める道・用途・規模の基準に適合し、特定行政庁が支障なしと認めるもの敷地の周囲に広い空地を有する等、省令の基準に適合し、特定行政庁が支障なしと認めるもの
対象となる「道」農道その他公共の用に供する道、または位置指定道路の基準に適合する道(いずれも幅員4m以上)上記以外で、特定行政庁が個別判断する通路・空地など
対象建築物の範囲①一戸建ての住宅・兼用住宅・長屋で延べ面積500㎡以内/②法別表第1(い)欄(1)項以外の用途で延べ面積500㎡以内(令和5年改正後)43条2項2号自体には500㎡のような一律の上限はない。ただし、自治体の許可基準・包括同意基準により、用途・規模が制限されることがある
主な根拠規範建築基準法施行規則第10条の3(国土交通省令)特定行政庁の運用基準(包括同意基準・個別提案基準)
手続の傾向省令基準への適合審査が中心で、比較的スムーズ建築審査会への付議が必要で、慎重・長期化することも
処理期間の目安標準処理期間はおおむね1〜2か月(自治体により異なる)建築審査会への付議が必要な場合、実所要期間は2〜6か月程度。包括同意基準に合致しない案件はさらに長期化することも
典型ケース農道や位置指定道路相当の構造を持つ幅員4m以上の道に2m以上接する一戸建て・長屋・兼用住宅等(延べ面積500㎡以内、令和5年改正後)袋地状敷地、広い空地に面する敷地などで、個別審査が必要なケース

8.申請の実務フロー

実際の手続は、申請の前に特定行政庁の建築指導課などへの「事前相談」を行うのが一般的です。図面・公図・通路の権原関係書類などを揃え、敷地が要件を満たすかを担当者と確認した上で、本申請に進みます。

8.1 事前相談の重要性

第1号認定・第2号許可とも、申請書を受け付けてから却下されると時間と費用の損失が大きいため、ほとんどの自治体で事前相談を推奨しています。千葉市や横浜市などは、専用の「事前相談票」様式を用意しており、提出書類のチェックも事前相談時に行えます。

8.2 必要書類の例

  • 申請書(自治体所定の様式)
  • 付近見取図・配置図・各階平面図・立面図
  • 公図の写し、敷地と道の関係を示す求積図
  • 通路の権原関係書類(通行・掘削承諾書、土地所有者の同意書等)
  • 第2号許可ではさらに、建築審査会説明用の図面・付議資料が必要なことが多い

8.3 手数料・処理期間

手数料は自治体条例で定められ、概ね第1号認定で2〜3万円程度、第2号許可で3〜5万円程度の例が多いですが、自治体ごとに差があるため、必ず所管庁の手数料条例で確認してください。例えば横浜市の手数料条例では、第1号認定が27,000円、第2号許可が33,000円と定められています。

処理期間は、第1号認定の標準処理期間がおおむね1〜2か月(自治体により異なります)、第2号許可は建築審査会の開催頻度に依存し、建築審査会への付議が必要な場合の実所要期間として2〜6か月程度、包括同意基準に合致しない案件では半年近くかかることもあります。

🦉 モーリー:「提出後は『取り下げ』にコストがかかる場合もあるから、事前相談で『この敷地は第1号でいける?それとも第2号?』を担当者にしっかり聞くのが鉄則だよ。」

9.不動産取引・住宅ローンへの影響と評価上のリスク

9.1 重要事項説明での扱い

接道義務を満たさない土地に建つ既存建物の売買では、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明で、その敷地が再建築可能か(=第43条第2項の認定・許可を取得可能か)の説明が不可欠です。「43条但し書きの許可取得により再建築可」「現況では再建築不可」など、表現の違いが取引価格に直結します。

なお、平成30年改正以降に作成する重要事項説明書では、便宜上の旧称である「43条但し書き」ではなく、現行条文に沿った「第43条第2項第1号認定」「第43条第2項第2号許可」と明記するのが望ましい運用です。

9.2 住宅ローン審査への影響

接道義務を満たさない物件は、金融機関の担保評価が下がる傾向があります。金融機関は「将来も建て替えできるか」の不確実性を見るため、第43条第2項の認定・許可を取得済みであるか、または取得見込みがあるかが審査の重要なポイントになります。

フラット35(住宅金融支援機構)の技術基準では、原則として敷地が「一般の交通の用に供する道」に2m以上接していることが求められます。一方で、住宅金融支援機構のFAQでは、都市計画区域内において建築基準法第43条第2項第2号の許可を受けた敷地(敷地の周囲に広い空地を有するものなど)も融資対象になり得ると示されており、都市計画区域外についても都市計画区域内の取扱いに準ずるとされています。

したがって、第43条第2項第2号許可を取得済みの物件は、原則としてフラット35の融資対象となる可能性がありますが、個別案件で対象となるか、第1号認定で対応されたケースをどう扱うかは、適合証明検査機関や取扱金融機関に事前確認することが必須です。

9.3 評価・取引で押さえたいリスク視点

(1)認定・許可は「土地」につくのではなく、「建築計画」につく

43条2項の認定・許可は、特定の建築計画に対して与えられる判断です。過去に許可を受けて建てられた建物があるからといって、将来の建替えで同じ条件が認められるとは限りません。「前は建ったから今度も建つだろう」と読み替えるのは危険で、再建築のたびに、その時点の基準・運用に基づき改めて判断される――そう捉えておくのが安全です。

(2)通路の現況が変わると、判断も変わる

1号認定の前提となる「幅員4m以上の道」は、現況の通路が要件を満たしている必要があります。沿道の建替えで通路が狭くなった、通路の一部が占用された、ということがあれば、認定の前提が崩れることがあります。

(3)評価上は「不安定さ」自体がリスク

43条2項の認定・許可が必要な土地は、

  • 原則の接道義務を満たしていない
  • 再建築には個別判断が必要
  • 運用基準や省令が変更されるリスクがある(実際、令和5年に1号認定の対象範囲が拡大している)

という意味で、法上の道路に接する土地より評価上の不確実性が高くなります。鑑定評価では、

  • 過去の認定・許可履歴(建築計画概要書、許可番号・認定番号など)
  • 対象自治体の運用基準・包括同意基準・取扱要綱の有無と内容
  • 現況通路の幅員・通行・所有関係

を、それぞれ別の情報源で確認し、減価の幅を慎重に検討します。

(4)「但し書き道路」という呼び方への注意

現在でも「但し書き道路」「43条但し書き道路」という呼称が広く使われていますが、これは俗称であり、対象となっている道が法42条の「道路」に格上げされるわけではありません。あくまで、無接道(または接道不足)の敷地について、個別の建築計画ごとに接道義務の例外を認める制度です。平成30年改正後の正式な根拠は43条2項であり、条文の根拠を確認するときは、改正後の条文構造で読み直すことが安全です。

⚠️ 認定・許可は「永続的な再建築保証」ではない第43条第2項の認定・許可は、その建築計画について受けるものです。将来、建物を解体して再建築する際は、再度認定・許可を取り直す必要があります。都市計画道路の計画変更や周辺状況の変化により、次回は同じ判断が得られない可能性もあります。将来の再建築時には、改めて認定・許可が必要になる可能性があるため、現時点でどのような条件で建築が認められているかを確認することが重要です。

🦉 モーリー:「43条2項の物件は、『建てられた事実』だけ見ても安心できない。『今、同じ条件で許可・認定が出るか』を確かめる視点が、いつも要るんだ。」

10.関連制度・接道義務の例外パターン全体像

10.1 接道に関わる道路類型の整理

接道義務を完全に満たさない土地が建築可能になるルートは、第43条第2項だけではありません。実務で混同しやすい関連制度を整理しておくと、解説の幅が広がります。

  • 42条1項3号道路:昭和25年11月23日(法施行時)に既に幅員4m以上あった道。建築基準法上の「道路」として扱われるため、そもそも接道義務違反になりません。
  • 42条2項道路(みなし道路):法施行時に既に建築物が立ち並ぶ幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定があれば道路として扱われます。中心線から2m後退(セットバック)が必要。
  • 位置指定道路(42条1項5号):私道について、一定の技術基準を満たすことを特定行政庁が指定したもの。これ自体は建築基準法上の「道路」なので、これに2m以上接する敷地は通常の接道義務を満たし、43条2項の救済ルートは不要です。一方、令第144条の4の位置指定道路と同等の構造基準を満たすが、法42条の「道路」には該当しない通路は、第43条第2項第1号認定の対象となり得ます。
  • 第43条第2項第1号認定/第2号許可:上記いずれにも該当しない「道路でない通路」に面する敷地を救うルート。

10.2 再建築不可物件と「43条但し書き」

不動産業界で「43条但し書き道路」と呼ばれているのは、旧43条1項ただし書きの許可、または現行の第43条第2項第1号認定もしくは第2号許可によって建築が認められている、建築基準法上の「道路」ではない通路です。中古住宅広告で「現況:再建築不可(43条但し書きの許可取得により建築可能)」と表記されている場合、購入後に再建築する際は、買主が改めて第2項第1号認定または第2号許可を取得する必要があります。

10.3 セットバックとの違い

第43条第2項の認定・許可は、「道路ではない通路」に接する敷地のためのルートです。一方、セットバックは「建築基準法上の道路(42条2項道路)」に接しているが幅員不足のケースで、敷地の一部を後退させて道路扱いにします。両者は別の問題で、混同しないことが重要です。

10.4 関連条文・関連法令の早見

  • 建築基準法第42条:「道路」の定義(1号〜5号)と「2項道路」の規定。
  • 建築基準法施行規則第10条の3:第43条第2項第1号認定の対象「道」および建築物の用途・規模基準。
  • 建築基準法施行令第144条の4:位置指定道路の技術基準(両端の接続、幅員、隅切り、縦断勾配、舗装、排水等)。
  • 各特定行政庁の取扱要領・包括同意基準:自治体ごとの運用基準。必ず最新版を所管庁で確認。
  • 国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律等の施行について」(技術的助言、平成30年9月21日 国住指第2074号・国住街第187号ほか):平成30年改正の運用解説。

11.モーリーのまとめ

第43条第2項を実務で扱う際は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

✅ 実務チェックリスト1.敷地が接する「道」が建築基準法上の「道路」か(42条各号のいずれか)を確認する。2.道路でない場合、その「道」が第43条第2項第1号の省令基準(農道等・位置指定相当の幅員4m以上)に該当するかを確認する。3.該当する場合は第1号認定の手続(建築審査会の同意不要)を検討する。4.該当しない場合は第2号許可の手続(建築審査会の同意必要)を検討し、所管庁の包括同意基準と照らし合わせる。5.取得した認定・許可は「その建築計画限り」のもの。将来の再建築時には改めて手続が必要である。6.住宅ローン(フラット35等)の利用可否は、適合証明検査機関や取扱金融機関に必ず事前確認する。7.自治体ごとに運用が異なるため、所管の特定行政庁の建築指導課に必ず事前相談する。

要点を改めて整理すると、

  • 43条2項は、接道義務を満たさない土地でも建築を可能にする救済制度
  • 平成30年改正で、旧43条但し書きは43条2項1号(認定)と2号(許可)に再編された(公布:平成30年6月27日、施行:平成30年9月25日)
  • 令和5年12月13日施行の規則改正で、1号認定の対象範囲が延べ面積500㎡以内に拡大された
  • 1号認定は「定型の救済」――建築審査会の同意は不要
  • 2号許可は「個別の救済」――建築審査会の同意が必要
  • 認定・許可は『土地』ではなく『建築計画』につくため、再建築のたびに判断は更新される
  • 「但し書き道路」は俗称。対象の道が42条道路になるわけではない

🦉 モーリー:「『扉が開いた』ことより、『扉が次にも開くか』を見届ける――それが、この制度に向き合うときのいちばん大事な姿勢なんだ。『道路じゃない道』を見つけたら、まずは特定行政庁に相談――これが鉄則!」

12.関連記事

  • 親:建築基準法上の「道路」って? ―― 接道義務を満たすための基礎知識
  • 1項3号道路(既存道路)――「昔からある道」がなぜ法上の道路になるのか
  • 2項道路(みなし道路)――幅員4m未満の道との向き合い方
  • 私道の通行・掘削同意 ―― 5号道路と2項道路で気をつけたいこと
  • 法上の道路かどうかを、どう調べるか

13.主な参考一次資料・公的情報源

  • e-Gov法令検索|建築基準法(昭和25年法律第201号)
  • e-Gov法令検索|建築基準法施行規則
  • 国土交通省|建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について
  • 国土交通省|接道規制のあり方について(住宅局市街地建築課)
  • 千葉市|法43条2項2号(旧法43条1項ただし書)許可、法43条2項1号認定について
  • 東京都都市整備局|第43条第2項に基づく認定・許可の取扱い
  • 横浜市|敷地等と道路との関係の許可・認定(建築基準法第43条第2項)
  • 横浜市手数料条例
  • 埼玉県|建築基準法第43条第2項第1号認定及び第2号許可に関すること
  • 福岡市|建築基準法第43条第2項第2号許可の取り扱いについて
  • 住宅金融支援機構(フラット35)|FAQ 接道に関する取扱い

【参照】建築基準法第43条第2項(e-Gov法令検索)、平成30年改正(公布:平成30年6月27日、施行:平成30年9月25日)、建築基準法施行規則第10条の3第3項改正(令和5年国土交通省令第93号、令和5年12月13日施行)、建築基準法施行令第144条の4(位置指定道路の構造基準)、各特定行政庁の運用基準・包括同意基準

※ 本記事は2026年5月時点の情報をもとに、e-Gov法令データベース、国土交通省の技術的助言、複数の特定行政庁の公表資料、住宅金融支援機構のFAQに基づき作成しています。自治体により運用が異なるため、実務利用の際は所管の特定行政庁(市町村・都道府県の建築指導課)に最終確認することを推奨します。

―― 以上 ――

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