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実務の森|不動産の価格って、どうやって調べるの?──価格を知る方法を整理しよう

モーリー

知りたい目的によって、見る価格や評価額は変わる。

ニャッタ
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モーリー
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今回は、そんな“価格の調べ方”の全体像を、モーリーたちと、ゆっくり歩いてみよう──。

1.どうして、いくつも価格があるの?

🐈 ニャッタ:そもそも、どうして一つじゃないの?価格は、その土地に一つでしょ?

🦉 モーリー:まず前提として、不動産の価格は、簡単には分からないんだ。立地によって大きく変わるし、その時々の需要と供給でも動く。だから、本当は、一つひとつの不動産を丁寧に調べないと分からないんだよ。

🐈 ニャッタ:じゃあ、税金のための価格も、一つひとつ調べるの?

🦉 モーリー:もし毎回すべての不動産を鑑定評価していたら、時間も費用もかかって、とても回らないよね。

🐈 ニャッタ:たしかに、それじゃ大変だ。

🦉 モーリー:だから、知りたい目的によって、見る価格や評価額が変わるんだ。ここで、三つの言葉を整理しておこう。

  • 実勢価格──現実の市場で取引される価格。
  • 公的な評価額──税金などの計算のために、公のルールに沿って求められる評価額。
  • 鑑定評価額──不動産鑑定士が、不動産鑑定評価基準に則って示す評価額。

🐈 ニャッタ:同じ土地でも、価格や評価額には種類があるんだね。

🦉 モーリー:そうなんだ。たとえばね。

  • 家を売りたい人が知りたいのは、「いくらで売れそうか」という実勢価格。
  • 固定資産税は、市区町村などが共通のルールで土地や家屋の評価額を決め、毎年たくさんの不動産に課税できるようにしている。
  • 相続税の申告では、土地は相続税路線価など、家屋は固定資産税評価額をもとに、納税者が評価額を計算する仕組みになっている。
  • 裁判などで第三者に説明できる価格が必要なときは、不動産鑑定士による鑑定評価が使われることがある。

🐈 ニャッタ:なるほど。同じ土地でも、知りたいことが違うから、使う価格も違うんだね。

🦉 モーリー:そのとおり。大切なのは、「何のために価格を知りたいのか」を、はっきりさせることなんだ。目的が決まれば、自然と選ぶ方法も決まる。

価格を知る方法は、大きく分けると二つある。外部のサービスや専門家に価格を示してもらう道と、自分で価格の見当をつける道。順番に歩いてみよう。

2.だれかに、価格を示してもらう

一つめは、相場に詳しい人や査定サービスで価格を知る方法。代表的なのは、不動産会社の査定、AI査定、そして不動産鑑定士による鑑定評価だ。

不動産会社の査定

🦉 モーリー:家を売ろうとすると、まず出会うのが、不動産会社の査定。いくらで売れそうかを、相場から見積もってくれる。多くは無料で、不動産会社に売却を依頼するきっかけになっているね。

🐈 ニャッタ:一社だけじゃなくて、何社かに聞く人もいるの?

🦉 モーリー:うん。最近では、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定サービスもあるよ。見積もりを比べながら、相場感をつかみたいときによく利用されているんだ。

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🐈 ニャッタ:じゃあ、いくらで売れそうかを聞けば、もう価格はわかるんだね。

🦉 モーリー:その地域の相場に詳しい不動産会社なら、売り出しの目安として参考になるよ。ただ、査定は「売るための見積もり」。あとで出てくる鑑定評価とは、性格のちがうものなんだ。

AI査定

🦉 モーリー:もう一つ、最近よく見かけるのがAI査定。住所や広さ、築年数などを入れると、過去の取引事例や売出情報、物件属性などのデータをもとに、自動でおおよその価格を出してくれる。無料で利用できるサービスも多いよ。

🐈 ニャッタ:すぐ出るし、手軽そう。

🦉 モーリー:手早く相場感をつかむには便利だね。ただ、こちらもあくまで自動の概算。データ化しにくい要因までは、十分には反映しきれない。目安として受け取るのが、ちょうどいいんだ。

不動産鑑定士による鑑定評価

🦉 モーリー:そして、価格を示す専門の国家資格者が、不動産鑑定士。鑑定士が価格を示す仕事には、おおまかにいうと二つの形があるんだ。

🦉 モーリー:一つは、不動産鑑定評価基準に則って行う「鑑定評価」。中立・公正な立場から、不動産の価格と、その価格に至る道すじを鑑定評価書で示す、専門的な評価なんだ。売買の参考にしたり、税務や裁判などで第三者への説明が必要になったりする場面でも活用されることがあるよ。

🐈 ニャッタ:きちんと理由まで説明できる価格なんだね。

🦉 モーリー:もう一つは、「鑑定評価以外の価格等調査」だね。これも不動産鑑定士が行う仕事だけれど、不動産鑑定評価基準に則る「鑑定評価」とは区別されている。この仕事は、国土交通省の「価格等調査ガイドライン」というルールに沿って行われるんだ。つまり、正式な鑑定評価書として出す場合と、目的を限定した調査報告として出す場合がある、ということだね。

🐈 ニャッタ:ふたつとも、鑑定士さんの仕事なんだ。

🦉 モーリー:そうなんだ。そして、どちらの場合も、国土交通省が定めた「価格等調査ガイドライン」という枠組みのもとで、何のために・どこまで調べて・その結果がどんな位置づけの価格なのかを、はじめに依頼者とはっきりさせてから進める。だから、受け取った価格が「鑑定評価」なのか「そうでない調査」なのかが、あいまいにならないようになっているんだよ。(くわしくは、国土交通省「価格等調査ガイドライン」

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🐈 ニャッタ:不動産の鑑定評価って、高いんでしょ?

🦉 モーリー:うん、専門の仕事だからね。費用については別の記事で歩いているよ。

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3.自分で、価格の見当をつける

もう一つの方法は、公表されている価格や評価額などを手がかりに、自分で価格や水準を調べる方法。知りたい目的に応じて、使う資料が変わるんだ。

🦉 モーリー:土地には、公表されている価格や評価額がいくつかあるんだ。それぞれ公表する主体も、使い道もちがうよ。代表的なのが、公示地価、相続税路線価、固定資産税評価額だよ。(全体像は、国土交通省「主な公的土地評価一覧」にまとまっているよ。)

公示地価

🦉 モーリー:公示地価は、国土交通省が毎年、標準的な地点について公表している土地の価格。自分の土地と似た使われ方をしている標準地と見くらべると、おおよその価格水準の見当がつくよ。都道府県が公表する「基準地価」は、公示地価を補完する制度で、公示地価とは価格時点や調査地点が異なるんだ。

公示地価や基準地価は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、地図から調べられるよ。

🔗 国土交通省 不動産情報ライブラリ

相続税路線価

🦉 モーリー:相続税路線価は、相続税や贈与税の計算の基礎になる、道路ごとの土地の価格なんだ。土地がどの路線に面しているかによって、適用される路線価が決まるよ。相続税の評価額は、この路線価などをもとに、納税者が自分で計算するんだ。相続税路線価は、公示地価を目安に、おおむね8割程度の水準になるよう定められているよ。

🐈 ニャッタ:相続税の評価って、鑑定士さんに頼むんじゃないの?

🦉 モーリー:原則はちがうよ。相続税路線価などを使って評価額を計算する仕組みなんだ。申告は税理士さんにお願いすることも多いけれど、鑑定評価が必要になるわけではないよ。

相続税路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で公開されていて、だれでも見ることができるよ。

🔗 国税庁 路線価図・評価倍率表

固定資産税評価額

🦉 モーリー:固定資産税評価額は、市区町村など(東京都23区では都)が固定資産税などの課税の基礎とする評価額。3年に一度見直されていて(評価替え)、土地のうち宅地では、公示地価水準の7割程度が目安とされているよ。

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固定資産税評価額は、毎年春ごろに不動産のある市区町村から届く納税通知書や、添付されている課税明細書で確認できるよ。

固定資産税の路線価などは、「全国地価マップ」でも見られるんだ。

🔗 資産評価システム研究センター 全国地価マップ

取引された価格の情報

🦉 モーリー:それから、実際の取引をもとにした価格情報を見る、という手もある。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、取引価格の情報を地域ごとに調べられるんだ。個別の物件が特定されないように加工されているけれど、近くでどのくらいの水準で取引されているかは、いちばん実感しやすい手がかりだね。

🐈 ニャッタ:自分でも、けっこう調べられるんだね。

🦉 モーリー:そうなんだ。ただ、どれもあくまで「目安」。土地の形や前面の道路、そのときの市場の動きまでは映りきらない。見当をつけるための、出発点だと思っておくといいよ。

公示地価や相続税路線価、固定資産税評価額など、公的な価格どうしの関係が気になったら、こちらものぞいてみてね。
レコル出版『公的価格を読む』の棚へ

4.結局、どの方法を選べばいいの?

🐈 ニャッタ:いろんな方法があるのはわかったけど、どの方法がいいの?

🦉 モーリー:それを決めるのが、いちばん最初の問い。「何のために、価格を知りたいのか」だよ。

🐈 ニャッタ:知りたい理由で、歩く道が変わるんだね。

🦉 モーリー:売りたいなら、まずは不動産会社の査定。相場感だけ知りたいなら、AI査定や公的な価格情報。相続税の申告では、土地は相続税路線価など、家屋は固定資産税評価額をもとに評価するんだ。鑑定評価書が必要なときは、不動産鑑定士だよ。

🐈 ニャッタ:どれが正しいかじゃなくて、目的に合っているかなんだ。

🦉 モーリー:そのとおり。その問いを置くことが、価格を見る、いちばん最初の一歩なんだよ。

まとめ──“価格を知る方法”

✅ 知りたい目的によって、見る価格や評価額は変わる。

✅ 価格を知る方法は大きく二つ。外部のサービスや専門家に示してもらう(不動産会社の査定・AI査定・不動産鑑定士による鑑定評価)/自分で見当をつける(公示地価・路線価・固定資産税評価額・取引価格の情報)。

✅ 不動産会社の査定やAI査定は便利だが「鑑定評価」ではない。鑑定評価は、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に則って示す専門的な評価。

✅ 不動産鑑定士が価格を示す仕事には、鑑定評価と、鑑定評価以外の価格等調査がある。

✅ いちばん大切なのは、何のために価格を知りたいのかをはっきりさせること。目的が決まれば、選ぶ方法も自然と決まる。

参考にした原典

・国土交通省「主な公的土地評価一覧」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000042.html

・国土交通省「価格等調査ガイドライン」(法令・不動産鑑定評価基準等) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk4_000024.html

・不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000152

・不動産鑑定評価基準(国土交通省)

・宅地建物取引業法(媒介に伴う価格査定) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176

・地価公示法(公示地価)/国土利用計画法施行令(都道府県地価調査・基準地価)

・相続税法・財産評価基本通達(相続税路線価)/国税庁 路線価図・評価倍率表 https://www.rosenka.nta.go.jp/

・地方税法・固定資産評価基準(固定資産税評価額)/全国地価マップ https://www.chikamap.jp/

・国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報) https://www.reinfolib.mlit.go.jp/


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